トレーニングの実践training

紙と、鉛筆と、ゆっくり座れる空間があれば、すぐに始められます。

基本的には週に2回(1回1時間程度)、患者さんと1対1で実施します。時間帯は午前中が望ましく、出来るだけ静かな個室で行います。個室の確保が難しい場合は、出来るだけ静かな場所を選ばれるとより効果的と考えられます。

道具

紙と筆記用具
※その他、硬貨・トランプ・ストップウオッチ・定規を各モジュールの課題で使用します

トレーナー
  • 臨床心理士や作業療法士、看護師など対人援助の専門職の経験者が望ましいです
  • 事前にマニュアルを熟読し、デモンストレーションビデオなどを視聴します
  • マニュアル化されたプログラムではあるが、患者さんへの肯定的フィードバックも重要
  • 検査ではなく「トレーニング」である意識を持ちながら進めます
  • プログラム中、必要な場合は正解を教えても構いません
患者さんについて
  • 認知機能の改善に対する意欲がある方や、記憶力の低下など、自身の認知的課題に対して自覚がある方が望ましいです
  • 年齢はおおむね15歳以上75歳以下であれば実施可能です
  • 病状としては、一定程度安定していれば可能(入院患者さんも可)

トレーニングの流れ

FEPの説明と同意

最初にFEPの内容や効果などについて簡単な説明を行います。患者さんが説明を聞き、実際にやってみたいと思われた場合は、主治医の許可を得てプログラム開始となります。
※FEPに関する研究に参加をして頂ける場合は研究への同意書も必要になります。

検査

プログラムが開始される前に、まずは現状の認知機能や社会機能などのいくつかの検査を実施します。

プログラム開始

検査を終えたらいつでもプログラムを開始できます。
トレーナーと1対1で、1回1時間のセッションを週2回程行います。

プログラム終了

合計44回のセッションを終えるとこのプログラムは終了になります。

検査

プログラム開始前に行った検査と同じ検査を行います。

参加者の声

※個人的な主観による感想です

FEPの導入に関するQ&A

FEPを実施する費用はいくらぐらいかかりますか?
患者さん1名につき、約1万円で実施可能です。費用の内訳としては、患者さんに記入していただくA4用紙などの筆記用具代金となります。
患者さんのモチベーションを上げるためには、どうしたら良いでしょうか?
モチベーションの低い状態でFEPを実施し続けるのは難しいと思います。
患者さんの生活の中で、記憶力が低下して困っていること、注意力が十分でないためにうまくいかないことなどを取り上げて、それらの問題を改善するためにFEPに取り組んでみるとよいのではないかと我々のチームではFEPを導入する際に説明しています。
FEPの実施について、病院内で他職種の理解を得るための工夫はありますか?
FEPを実施することで、患者さんにどのような変化が起こるのか、認知機能に関して改善が期待できる点はどこであるのかについて丁寧に説明することが必要だと思います。
FEPの効果はどのぐらい持続しますか?
FEPの効果がどの程度持続するのかについては、様々な研究結果が出ています。
我々の研究チームの結果では、6か月持続する患者さんがいる一方で、6か月後には改善効果が低下した患者さんもおり、未だ明確な結論を得るまでには至っておりません。
他の精神疾患や教育、福祉領域への応用は可能ですか?
現在、我々の研究チームでは、統合失調症、自閉スペクトラム症、軽度認知障害についてそれぞれFEPによる改善を確認しています。今後は、さらに他の精神疾患に応用していくことに加えて、学校現場での展開や障害者施設での実施についても検討しています。
FEPはグループで実施することも可能なのでしょうか?
FEPは基本的に1対1で行うトレーニングとして開発されましたが、臨床現場での応用を考えると、集団での実施についても積極的に検討する必要があると考えています。現在、民間精神病院との共同研究で集団実施によるFEPの効果についても検討を開始したところです。結果が得られ次第、本ホームページ上でも公開したいと考えています。